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地域のコミュニティからの独立 その2

戦後祖父が仕事をこの地で始めた頃はまだ食べる物も貴重でした。幸い田舎だったので野菜や米に関してはそれなりに工面できていたようです。

ただ、散髪の料金の代わりに現物払いなんて事もあったり、今も残ってますが担保に仕事道具を置いて施術をお願いされていた事も・・・近所の当時の子供(今、老人)が勝手に侵入してウチのおひつから米をむさぼり食べて逃げたという逸話も残ってます。

 

さすがに父親の代になるとそこまでの事は無かったと思いますが、近所のお葬式の度に仕事は強制休み。土日、平日、盆、正月関係ありません。そんな時に営業でもしようものなら・・・分かりますよね?

 

お葬式自体を地区で仕切っていました。平成も初めの頃は葬儀業者も入るのですが香典の計算等やお返しなども地区で仕切っており業者も半分は手を出せないって事もありました。会場は自宅でするのが当たり前で村の寺を借りてする事など余程の事情が無ければ使えない・・・檀家って何だろう?とか考えてはいけない。もちろんお坊さんは村の寺の住職およびその親族。

 

地区の人はそういう葬儀が楽しみになっているようですね。まぁ死者を明るく送り出すのも一つの考えではありますが。

 

この地域の葬儀にはてったい(手伝い)と言って同級生や隣組は強制で駆り出されます。仕事は当然休みです。昔は住民が近場で仕事をし、地産地消でなんでも出来ていましたし、今ほど経済活動は大きくありません。他地区から来られるお客様には申し訳ないですが、地域の方はこのようなイベントの臨時休業はすんなり受け入れてくれていた時代でした。またそのような事がある度に関わる人の仕事が前倒しであった為に休業の損失をリカヴァリーできていたわけです。そう考えるとまた文句は言えないですよね。

 

このような地では住民は何かに付けて繋がりを探します。求めます。また実際に繋がっています。例えば田舎に行けば同じ姓の人が多くないですか?それは皆さん血族な場合が多かったりする事もあります。あくまでも一つのパターンですが。また昔は近場同士で婚姻関係になる事も少なくなかった。加えて同級生が多く、今のように外へ出ていく人も少なかったわけです。

勿論、人間関係ですのですべて円満な事ばかりではありませんが、このような結びつきは強固で特に地域の情報共有や物事の協力関係においては驚きの力を発揮します。

 

当方はたまたまこの地にて営業する事になった単独の家。状況としてはネットに繋がっていないPCです。孤独。情報は自分から首を突っ込んで取ってくるしかないのです。周りが情報によって行動しているのに知らない自分達だけが普通にしてる。知らなかったら当然動けない。で後で何か言われるわけです。この繋がりから外にいるものは凄い疎外感があります。イジメですよね。陰湿です。でもそれをある意味楽しんでいる連中もいるのです。

 

それでも中にはオープンな人も少数ではありますがいます。そんな方達には助けられてきました。そんな方々がいるから頑張ってこれた事もあります。

 

仕事が関係なければ知らん存ぜぬで済むのですがソコは村社会。外部と遮断された空間の中では生きていけないのですね・・・ただどんなに頑張ってもよそ者はよそ者。70年以上この地にいる当家でもまだよそ者。外様。若い者でもその地に繋がりがあれば譜代。

 

田舎ではコソコソ話はそこらじゅうで見られ日常で外様の私達は輪に入る事も許されません。へんな噂を流されたりする事もあります。完全に知らん顔していたら見えないところで何か言われたり、何かされる。挙句にイチャモン付けてくる・・・実際にそうでなくても被害妄想は大きくなる。警戒してしまう。

こちらから会釈して挨拶してくれるならまだしもストーキングのように観察はするけど目は合わさない人もいます。声なんか聞いたこともありません。なのに他の村人だったらベラベラしゃべる。仲良くしてくれとは言わないけど挨拶ぐらいしようよ!と思うのですけど・・・これが平成も終わろうとしている2019年現在。田舎って少子化や不便だけが人口減少の理由ではないのですよ。もちろん、そんな所ばかりではないのですが、一部の地域については閉鎖社会は脈々と続いている。

 

昨今、Uターン、Iターンでこんな事がある、都会では感じられないスバラシイ事、体験、人付き合い・・・とTVなんかで取り上げらる事もあります。自治体として何とかアピールしたい部分もあるし、やっぱり若い人にはこの場所を守ってもらいたい。

 

分かる話です。都道府県、役所レベルでは。

 

ですが実際には一番重要なのは地域のコミニュティにあります。最小単位の自治会です。たまに訪れるゲストに対して悪い印象がある土地ってのはそうはないと思います。どの地区も人懐っこくて親切です。えー所です。

 

ですが・・・住民になり生活していく場となると違ってきます。その土地のルールもありますし、それを教えてくれるとは限りません。そこには法を超えたソレがあり、仮に裁判になり勝訴したとしても何も変わりません。むしろ当たりは酷くなるかも?しれません。すぐ隣の地域ではそこまでの事はないのに、たまたまその場所が運悪くそういう所だったと諦めなければならない。

 

例えばゴミ出しにしても新参者は決められたその場所に捨てる事を許されません。そんなニュースもありました。ネットでも話題になりました。区役所、役場に相談しても解決はできないそうです。役所を通す事でむしろ立場は悪化する。

 

このようなコミニュティの中で時には殺人事件が起こる事もあります。年に何度かTVでも取り上げられますが、表面上は加害者が悪いしどのような理由であれ殺人はいけません。しかし行き過ぎたイジメはそれを起してしまいます。そのような事件に対してはコメンテーター等も同情の余地あり!としてあまり厳しい事を言わない、取り上げ過ぎないようにしている事も感じる事はあります。

 

~つづく~