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地域のコミュニティーからの独立 その7

 実は遡る事、10カ月ほど前に現任期の役の方にコミュニティを抜ける事を伝えてはいる。その後、どうして、なぜ?と質問攻めにあったがその時点ではかなり包み込んで誤魔化しておいた。

 

とりあえずは近隣のコミュニティの住民に伝わっていた。いたハズである。

 

 その後、今回の地域の2年に1回の総会(役の引継ぎ)の直前に色々と話題に上り、出席の連絡は受けていたがコチラとしては10カ月前に伝えてあり、役の人が皆さんに説明してるはずで今更、言う事もないじゃないかと。しかも時間が当店の通常の閉店時間と重なるのはどういう事?来て欲しいのに配慮ないの?しかもその時間に予約が入ってしまっているではないか。当然、欠席の返事をしている。

 しかし、それでも出席して皆さんに説明してほしいと言う。ワタクシが知ってる限りコミュニティを抜けるに際して総会で挨拶された例は無く、ワタクシが役の時に抜けた住民もそんな事は無かったし、地区には議員さんの家もあるがそこからは出席はない。(選挙の時は強制手伝いなのに)

 

 もちろん、皆さんの前で抜けるにあたっての挨拶・お話をする事はあっても良い話だが、なぜかウチが初めてみたいだし、正直、地域では疎外されているのにこんな時だけなんでよ・・・ってなる。そんな熱意があるなら客で来ても良いはずであるが・・・

 

おそらくコミュニティの住民は、薄々抜けるのは仕事が上手くいってないからとは思っていても理由としては小さいと思っている。それよりも何となく疎外しているし、隣家と境界線の揉め事もあるし、地域の軽いイジメみたいなのが理由だろうなぁと考えるハズだ。

 

 またこうも思っている。

 

仕事が少なくても他所で居住地を構えるのは不経済だし、そんな事できる稼ぎもないだろう。長年続けてきた店と住居を捨てるなどとは微塵も考えていないはず。ましてやリフォームしたばかり。まぁ普通は捨てないわな。

 

自分たちが客として行かなくても地域の知り合いや親族で利用している方は確かにいるのでソレを捨てるわけないよと。結局、この地で恩恵を受けているのだから、あきらめろ!である。

 

 昨今、高齢化がどの地区でも問題になっているが、それは当地区でも同じで年齢や健康不安を理由に役を避けたがる。そりゃこれだけ大変な用事の多い地区だ。しかも2年の任期。子や孫は当地区を捨てて近郊や都会に出ている。もはや長男が継ぐなど幻である。

出ていくのは不便だから?仕事が無いからだけではない。行政サービスどうこうだけでもない。難解なコミュニティや役職がある事も理由の一つ。誰もこの難しい場所で新婚生活を送りたいとは思わないし、今のままだと呼ぶことも難しいだろう。

 

 自治体、町、地域と関わりは規模が小さくなるほど大きくなる。これがサラリーマンだとまた違った形だったかもしれないが、祖父が来る前から地区にずっとある店、店舗。移動もできないのだ。当然、いつでもいるし、関りが大きくならざる得ない。

 

 そんな家なのに地区から無くなる事は頭の片隅にも思っていなかった事だろう。その上、地域では若手になる世代のワタクシが出ると言うのは困るのである。出て行くならもっと早くに出てなきゃならないわけだ。

 

 役は軒数によって回ってくる年数が違う。また減るの?早く回ってくるじゃないか!と。本音を言えば我々の最後まで見送ってほしい、先々は数少ない40~60代の人で万年役を引き継いでほしいと考えているだろう。

 

 そして総会前日にコミュニティの中から2人、当店に来た。

 

 先に役の方は何度か足を運んでワタクシが出席するのを念押しして来た。客でも無い連中にココまで引き留められるような事はないし、今まで無視してきたんじゃないか。思わず怒りを役の人にぶつけてしまった・・・やっちまった・・・あふれる感情が・・・ちょっと言い過ぎたかなと思ったし、たまたまその時期に役が当たっていたから愚痴聞かされた方には申し訳なかったが、もう抜けるんだ・・・仕事失っても良いんだ・・・遅かれ早かれ廃業の日がくる。どうせここだけの仕事なら赤字なんだ。実際に形骸化しても他の仕事との繋がりもあり、閉めはしないが、ともかくそれを今、実行しただけ。その覚悟である。

 

 役の人はどうしても出てほしい、説明がほしいと言う人がいると引かない。ではワタクシからその方の所に行って説明しますと申し出た。

一旦は引き下がってくれた。

 

 あぁ大変だなぁ・・・これは何の組織だ・・・言った以上説明せねばならないかぁ・・・とりあえず予約ある訪問先の仕事後にしよう。その準備をしていた時に現れた2人。

 

 2人曰く、これはみんなの意見の総意で説明してくれと。我々だけがうるさく言っているわけではないと・・・煙草をくゆらせ話し出す。

「出ていくとなれば中途半端な関わりは無しだ」「ええとこだけココの自治体利用するのは駄目である」なぜか役所の人になっているではないか・・・「ゴミはどうすんだ?ココで捨てる事はあかんぞ!」「地域の場所に車止めるな」とまぁ色んな細かい事をぺらぺらと・・・はぁしんどい。

 

 事業としては続けるので町との関りはあるんだけど・・・ゴミも事業用として役所に支払うし・・・地域の祭りにも今まで通り寄付するし・・・

 

 つまり簡潔に言うとコミュニティを抜けるには住民票も移せ!との事を言ってるらしい・・・覚悟を示せって事?

 

 住民票があっても自治会や地域のコミュニティに入らない例はどこでもあるのだが、どうしてソコまでしないといけないのか分からない。しかし理不尽も難癖もこの地区の十八番。前にも書いたが行政でも裁判でもどうにもならないのが田舎のコミュニティ。正義や悪ではない。正しい正しくないでも勝ち負けでもないのだ。

 

コレだけ言えば抜けるのを辞めるんじゃないか?まだ思ってるんじゃなかろうか。そんな感じを受けた。

 

 実はこの店舗住宅をリフォームする間、小さいマンションを借りていたのだが、後に持ち主から購入しないか?との話を持ち掛けられ、経済的にもきついが先々の事も考え買っていたのだ。結婚して住む事もできるし、賃貸で貸す事もできる。そして何より相場より安かった・・・考えた上、購入した時に密かにワタクシだけ住民票は移しておいた。出る事は可能ではある。まさか、ここでコレが生きてくるとは思ってもみなかった・・・

 

 ただし、2人が来たこの時点で母親の住民票はまだこの地にあったのだ。しかしこの2人が帰った数時間後には変わっている事になる。

 

 ここまで絡んでくる前は、母親の住民票はこの地で良いと考えてた。こちらで健康保険の費用も支払いしているし、住民税もこちらですしね。

 

 この時、岐阜にいる弟がたまたま帰省しており急遽ワタクシは弟に母親を連れて役所で手続きしてきてくれ!と伝えた。

 

  まさに会合の2日前の事であった。

 

~続く~